はじめに

もしかして不妊かも・・・子作り解禁4ヶ月にしてなんとなく予感した私はすぐに通院を始めました。不妊治療に熱心なその病院で基本検査一通り、卵管造影検査を受けたところで卵管の異常を発見。お腹に穴を開ける腹腔鏡検査を即決して卵管形成を施したものの、成果が期待できる半年を過ぎても妊娠しませんでした。卵管が使いものにならないということは、残る方法は1つ。そして通院開始から1年で体外受精を決意することになりました。
最短距離で体外受精という高度生殖医療の前に立たされる卵管因子の不妊は、幸か不幸か。それでもきっと幸なんだと思います。原因不明で長い間苦しむ人もいる。そして何より私は体外受精がこんなに普及し(100人に1人の赤ちゃんが体外受精児)それを受けることができる今に生きているのです。
体外受精は病院にもよりますが、一般に35%もあればいい成功率です。後悔しないように3回は覚悟の上のチャレンジがスタートしました。ところが幸運にも1度目で妊娠。唯一の副作用であるOHSS(卵巣過剰刺激症候群)で入院しながらも、念願の命を宿すことができました。
不妊治療は体以上に心が悲鳴を上げます。短い期間ではありますがそんな自分と向き合った日々は人生最大の試練でした。でも無駄ではない。いろんな人に出会って励まし合って、夫という大切な存在を再確認させてくれた貴重な機会でもありました。
妊娠した今も試練は終わりません。流産の不安と戦いながらこの子をお腹の中で育てていくという新しい使命があります。全てに感謝しながら、今度は少しずつ楽しんでいければなあ。そうして笑いながらお産にたどり着けたらまた、新しくも嬉しい使命が待っているのだと思います。